相棒
プロローグ
2035年、日本はとても豊かになった...
街は若い人であふれ世界からみてもとても豊かな国として認められるようになっていった...
もちろんこの僕もとても豊かだ。
年収だって月100万は超えることができたし、仕事だって週に4回ほどでいい。これはほんとに凄いことだと思っている。
なぜ、こんな幸せだって?それはこの相棒のおかげさ。
なぜなら、僕はこのロボット(相棒)が全ての能力値をはかり、僕自身の最良の幸せを導いてくれたからであった。
このロボットのおかげで料理、洗濯、はたまた、仕事だって手伝ってくれるし、ついでに僕の健康管理だって見てくれる、このすべてのライフサポートをしてくれる
l・robot通称「相棒」のおかげで僕は幸せだった。
これは本当に便利だ、近い将来一人一台なんて言われるのも遅くはないだろう。
そんなある日僕は相棒といつもの朝を迎えた。
「おはようございます。今日もいい天気ですね。そんなあなたにうれしいニュースがあります。明日はご主人の40歳と4か月の誕生日になります。おめでとうございます。」
ふふ.....4か月の誕生日とかの記念日とか大げさだよ、これじゃ彼女との記念日と何ら変わりはないよ。ほんとにきっちりしているなあ相棒は。
「いえいえ....ご主人これはとてもすごいことなんですよ。今や日本の平均寿命は50歳を超えればとてもいいといった時代。高齢化社会の終わりはいいことではありますが、少し寂しさもあります。このまま元気でいてくださいね。」
ふふ、と軽い笑みをうかべ僕はコーヒーをのんだ。
そんなやり取りは日常茶飯事だ。この相棒は僕にストレスを与えないよう相棒は僕にいつも気持ちのいい言葉を投げかけるように設定されているみたいだ。
だから、僕がムカついた時にもいつも最良の言葉をくれるし、仕事で成功したときなんか親身になったように喜んでくれる。
ああ、本当にいい世界になったなぁ。と
そんなぽわぽわした感情のさなか相棒からある提案を持ち出された。
「ご主人、ここで健康診断を受けてみてはいかかがでしょう。ここらで一度洗いざらいあなたの健康具合を一度見ておくのがとてもいいと思います。どうでしょう」
うん.....そうだね....ここらで一度僕の健康状態を見ておくのもいいのかもしれない。
僕自身いままで相棒に体温などといった簡易的な健康状態はいつもみてもらっているが、すみからすみまで見るといった検査は病院に行かないとできない。ここしばらく検査は受けていなかったのでちょうどいいだろうと僕は思った。
本編
2035年の病院は本当に優秀だ。
血液検査、尿検査といったものはとくになく。ある10mくらいの廊下をゆっくりと歩くだけで検査は終える。
そこで全てがわかるらしい。
そして診察時間もそんなにかからない。
基本的に重症患者以外はある一枚のディスクを渡され。それを相棒にセットする、それだけですべて今後の生活すべてを相棒が管理してくれるのだ。
....おっとそんな説明口調をしている間に僕の検査は終えた。
多分すぐにディスクをもらえて帰れることだろう。
そんな僕の甘い考えはすぐになくなった。
........〇×さん、大変申し訳にくいのですがあとあなたの寿命は残り10年になりました......
「えっ......」
原因は、心臓、つまり10年後には確実にあなたの心臓が止まってしまうという事です。
これは病気ではありません。
ここ最近医療は確実に発展いたしました。人の寿命ですら知ることも....可能性としては、90パーセント以上であなたは心臓発作で死んでしまいます。
お気持ちはわかります。
しかし、ここからは私自身の気持ちになってしまいますが、このまま絶望のまま、生きていかないでください。あと10年あります。幸せはたくさんあります。どうかあなたの残りの人生楽しんで生活してください。
..........
取り乱す余裕もなく診察は終わってしまった。
もちろん隣の相棒は診察結果を今アップロードしているので、動かない状態なのだが、
..........
ああ.....ああ......これからどう生きていこう......
これは誰かに言うべきか....仕事は??今後の生活は???
などと頭の中をぐるんぐるんさせていた.......
ご主人!!
ああっ....なんだね.....
「ああ....ご主人、......大丈夫ですか?あの......申し訳ございません、私が健康状態を見に行こうなどといったせいで、ご主人を傷つけてしまって.....」
.....いや.....お前が謝ることじゃないよ....それにこれはもう決まったことさ.....まだ信じられない部分はあるけれど....このまま気分が落ち続けても何も意味はないからね。
なにかまた飯でも食って寝りゃまた元気が出るさ!
相棒!今日はステーキでも食わしてくれ!
「........はい!わかりましたご主人」
...........
お前のステーキは最高だな相棒!
「ありがとうございます、ご主人まだまだ私!たくさん作れますよ!」
ははは....頼むよ相棒!俺はもっと食えるぞ!もっと出してくれ!!
私は昼間に起きた絶望の宣言を晴らすかのように元気にふるまった、相棒はそれを察するかの如く私に対して優しく接し続けてくれた.....
まあ、そんな気丈な振る舞いも長くは続くはずもなく私は相棒に愚痴や泣き言をつぶやく続けた....
相棒はそんな俺でも優しく丁寧に接してくれた。
そんな相棒からある提案を持ち出された。
「.........ご主人、仕事をやめませんか?そして私といろんな世界を旅してみませんか?」
......えっ.....
「あと残り10年の命なんですこのままだともったいないですよご主人!お金はあるんですから、いろんなことをしてみましょうよ!」
それを聞いて話は早かった.....初めはアメリカ、タイ、中国、ロシア、フラン、ブラジルいろんなところを旅していくようになった.....
初めは一人で海外旅行に行くのは怖いと思っていたが私には相棒がついていたのでとても安心だった。言語は相棒がすべて翻訳してくれるので、簡単に現地の人とコミュニケーションをとることができたし何よりそのひとたちと笑いあうのが何よりたのしかった。
たくさんの人と出会うことができた。もちろん、富裕層だけではなく貧困層も見てきたが彼らは彼なりに幸せになるために一生懸命生きている姿を見ることができてとても気分が良くなり、私はどんどん世界を旅することの魅力に引き込まれていった。
.........とても充実したがもう9年たってしまった......残り一年だ......最後の一年は何をしようか.....
.......相棒......俺は何をしようかな...
「.....そうですね、僕はいままでご主人が幸せになるように様々なことを提供してきました。しかし、この先の幸せはあなた自身に決めて欲しいです。」
.....そうか...そうだよなぁ....なら、俺はこれから死ぬんだから、これから生きる人たちの助けをしたい。あの人たちを幸せにできればいいなぁ...
「.....ならご主人こういうのはどうでしょう...
今後みらいの子供たちのために臓器提供をする...とか...」
......wwふふ怖いことを言ってくれるじゃないか相棒、悪いがそんなことを俺はしないよ、ギリギリまで生きてやるのさ、俺は。
「そうでしたね。それが私のご主人です。」
.....
ついに10年目突入前だ....
おれもついに死ぬのかと悟った.....
なんだか、体の調子もあまり良くないし咳も出る...この調子だったらあとのこりも少ないだろ...
でもおれの人生はなかなか楽しかったなぁ...
特に心残りはないし、これからしたいと思うことももうない。
ああ...もう満足だ...
でも....
.......
...相棒いるか??
「はい」
.....あのさ.....いままでありがとう....
「はい、私こそ」
私の人生はここで幕を下ろした。
まあ、うまくは言えないけど、こいつの相棒だけが今後どうなっていくかだけ心配だな。
.........
どうだね、今の日本は。
----順調です。経済も急成長、今後かなり期待できそうです。
お年寄りも日本からかなり少なくなって日本はほんとに豊かになったな。
----ええっ、大体の日本人が50代で死ぬように今は「相棒」に精神コントロールされていますからね。動物は死を悟った瞬間死ぬといったデータが以前ありましたが、これを運用して長い年月にはなってしまいますが、かなり確率が高く高齢者になる前にいなくなることができますからね。
初めは批判こそ多かったのですが、被験者の満足値がほぼ最高値だといった結果を発表したところ。2025年から極秘にこの計画は始まりました。
ああ...この計画で本当に豊かになったよ...
いやはや、正直言ってこの計画を行わなかったら今の日本は働けない年寄りでいっぱいになるところだったからなあ。
よくもわるくも経済に余裕が生まれたことによって、家庭を持つものも一定数増えたからな。今では一人に一台といったところまでなったし、このまま順調にいけば俺たちだけでなく若者でも甘い汁が吸える世の中になっていくな.....
本当に相棒さまさまだな。
----ええ、そうですね。